かきたま波江の休日

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初めての好意

以前やっていたブログから修正して再掲しています。

 

前の職場にいた頃、人生で初めて、人から好意を向けられた。

それまで私は、好かれるってひたすら有難いものと思ってたし、「好き」は道徳的に尊いものだろうから、向けられたら喜べるに違いないと強く信じていた。

 

でも実際、心にあったのは強烈な違和感だった。

それは何故かというと…

 

まず、私は異性と一定の距離を越えて接するのに抵抗がある。たまに大丈夫な人もいるけれど、今回は距離を詰められる嫌さが勝ってしまった。

 

でも、一番の理由は、「人として未成熟な自分」にリアルな恋愛イベントが絡むのが怖かったからだと思う。

 

私は昔から心身の浮き沈みが激しく、日常生活を送るだけでも精一杯。経済力も乏しければ、これといった趣味も無い…ような人間だった。

つまりは、自信が無いまま当事者になり、現実の出来事に立ち向かう勇気がなかったのだ。

 

恋自体はいつかしてみたいと思いつつも、上記の理由から、ずっと先延ばしにしてきた。

 

一体いつまでこうなんだろう…

 

それからしばらくして、改めて将来のことを考えた末に、転職を決意、無事新しい職を手に入れた。

 

そのきっかけの一つとして、「恋をしても良い」と自分を許せるようになりたい、というのがあった。予期せず背中を押された形。

 

安直だけど今より経済力が欲しい、仕事負担を今より軽減出来たら私生活の充実にも気を配れるかも、そしてそれらを自信に繋げたい、そんな気持ちであった。



この時の好意は拒否が勝ったし、どの道今すぐ誰かと付き合いたいわけでもない。

それでも、「何かとりあえず変えてみよう」と思わせてくれたことには感謝している。

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